TAX LAWYER メンバーブログ
国税の不服申立てと税務訴訟について解説
こんにちは。
時折、ニュースなどで税金の話題を見かけることはありませんか?株式会社〇〇が脱税✕✕円、追徴✕✕円!漫画家の○○が所得✕✕円隠していた!など。
時には、税務署の処分が正しくない、間違って課税されている。そう思われることもあります。そのようなケースでも、納税者は決定を受け入れるしかないのでしょうか。
今回のコラムでは国税の不服申立て制度と、その先にある税務訴訟について解説します。
仕組み
国税に関する処分等に不服がある場合、私たち納税者の正当な権利を守るため、その処分の取消しや変更を求める不服申立てをすることができるようになっています。
国税に関する処分には、以下のようなものがあります。
・課税標準等又は税額等に関する更正処分又は決定処分
・更正の請求に対し一部又は全部に理由がないとした処分
・納税の告知
・国税の滞納処分
・耐用年数の短縮申請を拒否する行為等税法上の各種の申請を拒否する行為
……難しいですね。
もっと具体的に、身近に起こり得る例を考えてみます。
・確定申告で、経費の中に経費と認められないものが含まれていたので、追加の税金を納めろと通知された!
こんなことを突然言われることはまずありませんが、例なのでご容赦ください。
さて、税務署がこういってきたら、私たちはもう黙って税金を納めるしかないのでしょうか。答えはNoで、国税不服審判所というところへ不服申立てを行うことができる制度が用意されています。上の例で言えば、「税務署はこの支出は経費にならないといったけれど、ちゃんと経費になるはずだぞ!」と言い返す場が用意されているということです。
不服申立て制度の流れ
税務署長などから処分を受け、処分に不服がある場合は、処分を行った税務署長等に対して再審査の請求を行うか、国税不服審判所長に対する審査請求を行います。この請求は処分を受けた日から3ヶ月以内に行わないといけません。
再審査の請求を行った後、3ヶ月たっても再調査決定が来ない場合、また、再調査決定が届いてもなお不服がある場合には、国税不服審判所長に対する審査請求を行うことができます。
国税不服審判所は税務署とは別の機関ですから、自分と全く関係ない機関にチェックしてもらうか、一度処分を行った税務署に調べ直させるか、どちらか選ぶことができるようになっているるということです。どちらの方が良いのかは、諸説あるようです。
国税不服審判所長に審査請求を行った後、通常1年程度で裁決が行われます。ただし、審査請求を行った日から3ヶ月をすれば、処分の取消しを求める訴訟を提起することができるようになります。また、裁決が行われた後なお不服があれば6ヶ月以内であれば、同様に訴えを提起することができるようにます。
まとめ
今回は「税務訴訟」の制度と手続きについてご紹介しました。
ポイントは
・不服申立て制度は、納税者の正当な権利を守るための戦いである
・処分に不服があったからといって、すぐに裁判になるわけではない
・不服を訴える先は、処分をした税務署等と国税不服裁判所とのうちから選べる
となります。
裁判の中身やもっと細かいやり取り、実際の判例についてはまた別に機会でコラムにさせていただきます。
お読みいただきありがとうございました。